ピアノ雑談

【ピアノ教室】ちょっと小話! 〜カノン進行とは?初心者でもわかりやすく解説〜

こんにちは!
東京都内を中心に、関東近郊に20か所ほどある完全個人レッスンのピアノ教室、エルピアノスクールのブログです。

今回は曲を弾いたり分析したりする際に、とても役立つことをお話ししていきたいと思います!

みなさんは「カノン」という言葉は聞いたことあるでしょうか?
「カノン」というのは、ざっくりいうと同じ旋律を異なる声部や音から始め、それらがうまく組み合わさった音楽の形式のことです。

私はカノンと聞くとすぐ、パッヘルベルのカノンを思い浮かべます。

そんなカノンですが実はある法則みたいなものがあります。

今回その法則を紐解いていくわけですが、 実はカノンは左手のコード進行に秘密があるんです。
皆さんは「カノン進行」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

今回はそんな「カノン進行」のお話をしていきます。少し難しい話も出てきますが、なるべく簡単に説明させていただければと思います(^^;;

ピアノちょっと小話! 〜カノン進行とは?初心者でもわかりやすく解説〜

「カノン進行」はコード進行の型の一つで、数多くのヒット曲に使われています。

例えば、あいみょんの『マリーゴールド』、YOASOBIの『もう少しだけ』など、他にも本当にたくさんの名曲にカノン進行が使用されています。

コード進行とは和音のつながりのことで、コード進行はいくつか定番の型があります。(基本的なものでも少し弾けるようにしておくと、ピアノやギターなどで伴奏をする時にとても役に立つと思います)

「カノン進行」とは、そんな定番のコード進行の中でも特に有名な進行なんですね。今回はそのカノン進行について解説し、カノン進行で弾ける名曲も少しご紹介させていただければと思います。

〜カノン進行の名前の由来〜


1680年ごろ、ヨハン・パッヘルベル(1653ー1706)という作曲家が「カノン」という曲を作曲しました。この曲の原題は、『3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ』で、特に前半のカノンが有名です。(カノンとは、複数のパートが同じ旋律を異なる時点からそれぞれ開始した様式の曲のことを指します)

そして、この曲で特徴的なコード進行が使われていることから、その名をとって「カノン進行」と呼ぶようになりました。

「パッヘルベルのカノン」は恐らく皆さん耳にされたことがあると思いますが、最初にご紹介させていただいた映像ももしよろしければ聴いてみてくださいね!

〜カノン進行の特徴〜


それでは次にカノン進行の特徴を解説していきたいと思います。

カノン進行のコードの並びは、Cメジャーキー(ハ長調)の曲だと「C→G→Am→Em→F→C→Dm(もしくはF)→G」が基本になっています。(譜例1)
また、これをディグリーネーム(ローマ数字)で表すと、「I→Ⅴ→Ⅵm→Ⅲm→Ⅳ→I→Ⅱm(Ⅳ)→V」となります。

(※譜例1 Cメジャーキーのカノン進行の例)

しかし、この進行を基本形のまま、鍵盤でそのまま弾くだけではカノン進行の最大の特徴を活かすことができません。

カノン進行の最大の特徴は、ベースの音を“順次進行させることが出来る”ということです。

順次進行で弾けるようにコードを直すと、「C→G/B→Am→Em/G→F→C/E→Dm→G」となります。(譜例2)
ベース音だけ取り出して見てみると「ド(C)→シ(B)→ラ(A)→ソ(G)→ファ(F)→ミ(E)→レ(D)→ソ(G)」となっています。

(※譜例2 ベース音を順次進行にした例)

コード伴奏をする上で、「手の移動をなるべく最小限に抑える」ことはとても重要なポイントですが、カノン進行はまさにそれを叶えてくれます。
Dm→G(レ→ソ)に行く時だけ4度上行していますが、それ以外は基本的にベースは隣の音に下がって行くだけなので、少し練習しただけでもスムーズに弾けるようになりそうですね。(しかもベース音の動きが滑らかになることで響きも美しくなったり)

曲によりキーはそれぞれですが、同じ型の進行は本当に多く存在しますので、ご興味のある方は是非探してみてください!

〜カノン進行が実際に使われている名曲〜


それでは最後にカノン進行が実際に使われている名曲をいくつかご紹介していきたいと思います。(とは言ってもカノン進行を使用している名曲は本当に多く存在しますので、一部中の一部ですが)

・『マリーゴールド/あいみょん』

この曲のBPM(テンポ)は「106」と、少しゆっくりめなテンポなので、比較的弾きやすいと思います。
また、この曲はDメジャーキー(ニ長調)なのでピアノの場合は黒鍵をおさえる必要がありますが、ファとドに#をつけて、それ以外は白鍵を弾けばいいので、初心者の方も比較的練習しやすい曲ではないかと思います。

曲中でカノン進行が使われているのはAメロとサビの部分です。
Dメジャーキーの曲なので、コードに表すと「D→A/C#→Bm→A→G→D/F#→G→A」となります。

それ以外のBメロや間奏などでは、カノン進行ではないコード進行も使われています。(例:Bメロのコード→「Bm→D/F#→G→A」)

エルミュージックスクールは「エルギタースクール」というギター教室の運営もしていますが、ギター教室でも非常に人気の曲です!

・『もう少しだけ/YOASOBI』

この曲は2021年度に「めざましテレビ」のテーマソングに起用され、2021年12月に放送された、井ノ原快彦さん主演のドラマ「めざましドラマ『めぐる。』」の主題歌にもなっています。
サビのキャッチーなフレーズが印象的で、幾田りらさんの透き通った歌声が素敵な一曲ですよね。

この曲はE♭メジャーキー(変ホ長調)なので、シとミとラに♭を付けて弾きましょう。

E♭メジャーキーのカノン進行は「E♭→B♭/D→Cm→E♭/B♭→A♭→E♭/G→Fm→B♭」です。
この曲もAメロと、サビの前半にカノン進行が使われています。

コードに表すとそれ以外のBメロやサビの後半では、カノン進行ではないコード進行も使われているので、響きの違いを比べてみてください。

・『Permission to Dance/BTS』

次はKーPOPから一曲、BTSの‘Permission to Dance’をご紹介いたします。

この曲はEd Sheera(エド・シーラン)がBTSに提供した曲だそうです。
この曲はEメジャーキー(ホ長調)なので、ファとドとソとレに#を付けて弾きましょう。

Eメジャーキーのカノン進行は「E→B/D#→C#m7→B→A→G#m→A→B」です。

Bメロとサビの3つ目のフレーズだけが「C#m→Cdim→A→B」というコード進行になっていますが、それ以外は全てカノン進行で作られています。

・『チェリー/スピッツ』

この曲はCメジャーキー(ハ長調)なので、ピアノで弾く場合は黒鍵は使わず全て白鍵だけで弾けるので、ピアノ初心者の方でも気軽に挑戦していただけると思います。(原曲はリズムがシャッフル(ハネ)なので、そこは慣れないと難しいかもしれませんが)

カノン進行はAメロ部分で使われており、この場合のカノン進行は「C→G→Am→Em→F→C→F→G」です。

ベース音が全て滑らかに下っているわけではありませんが、これも立派なカノン進行。ソロ演奏の場合などはベースラインを下らせるアレンジをしても美しいですよ!

はい、ということでいかがでしたでしょうか?

ここまで、カノン進行についての解説と、カノン進行を使った曲をいくつか取り上げてきました。

数多く存在する定番コード進行の中でも最も親しまれている「カノン進行」。
音の響きも美しく、音楽が豊かになりますが、やはり人気の秘訣はピアノだと「弾きやすさ」にもあるのかもしれません。

今回ご紹介させていただいた、『マリーゴールド/あいみょん』、『もう少しだけ/YOASOBI』、『Permission to Dance/BTS』、『チェリー/スピッツ』以外にもカノン進行が使われている楽曲は山ほどありますが、今回は比較的簡単で弾きやすいかなという曲を選んでみました。

是非、カノン進行をマスターして、音楽を一緒に楽しみましょう!

それでは、本日もお読みいただきありがとうございました!



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