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東京都内を中心に、関東近郊に20か所ほどある完全個人レッスンのピアノ教室、エルピアノスクールのブログです。
本日も「ピアノ名曲探索! 〜名曲を知る〜名曲を聴く〜」ということで、是非ご紹介させていただきたい名曲について書かせていただきたいと思います。
今回ご紹介する曲は、、、
ショパン「雨だれの前奏曲」です!!
〜ショパン「雨だれの前奏曲」〜
まずは詳しい内容に入る前に実際に曲を聴いてみましょう!!
演奏:チョソンジン
ご存知の方も非常に多いこの曲は、名曲中の名曲といっても過言ではないのではないでしょうか!?
心に染み渡る美しいメロディーはいつ聴いても心が和みます(^^)
前奏曲は「プレリュード」とも言い、非常にコンパクトで、比較的短い曲になります。
作曲者は名曲を数々生み出した天才“ショパン“です。
ショパンは前奏曲を計26曲書いており、その内訳は、
「前奏曲作品28」という24曲で一作品となっているものと、
「前奏曲嬰ハ短調作品45」
「前奏曲変イ長調遺作」
になります。
作品28の方は24のプレリュードと呼ばれ、非常に弾かれることの多い作品です。
雨だれのプレリュードは「作品28」の一曲で、本当に素晴らしい作品の多い24のプレリュードの中でも、1、2を争う人気があるのではないでしょうか。
本当に素晴らしい名曲だと思います。
この曲はその名の通り雨の音にインスピレーションを受けて作られており、その「雨音」が曲の中でどのように表されているかというと、ある一定のリズムで表されています。
タ、タ、タ、タ タ、タ、タ、タ
このような均等なリズムが8分音符で、ずっと終始刻まれています。
これはどういうことかというと、雨というのは「ポツポツポツポツ」絶えず一定に落ち続けますよね?
この一定に落ち続けるというのを8分音符のリズムで表しているんです。
この作品が作られたきっかけとなったのは、ショパンの恋人であり、女流作家であったジョルジュ・サンドの影響があります。
ショパンは非常に体が弱く、持病である肺結核の療養のため、ある時サンドと共にスペインのマヨルカ島へいきました。
しかし長旅の影響もあってか、持病はますます悪化してしまいます。
死の淵をさまようまで衰弱していたある日、サンドはショパンを残し一人で買い物に行きます。ところが突然島が嵐に襲われ、サンドの帰りも遅くなってしまいました。
その間ショパンは恋人の帰りを不安に待ち、かつてサンドと聞いた雨音や、嵐による雨音を使った曲を作曲していました。
この「雨だれの前奏曲」では、その二つの雨音が曲中で見事に表されています。
まず、かつて聴いた甘い雨音、これは曲の冒頭に美しいメロディーとともに、しとしとと降り落ちる様子を変ニ長調(ポピュラーミュージックでいうところの「D♭メジャーキー」)という非常に柔らかい調で表しています。
・柔らかい雨→変ニ長調
しかし曲の中間部で突然その柔らかな雨が嵐に変わります。
雨音を表す「タタタタタタタタ」というリズムは右手に移り、左手は非常に低い音域で不気味に響き渡ります。
最初はその不気味さはピアニッシモ(とても弱く)で現れ、だんだん嵐になるにつれてフォルテ(強く)からフォルティッシモ(とても強く)へと激しさを増していきます。
この非常に激しい雨音は、ショパンのこれまでの苦悩や怒りといったものに重ね合わせているかのように、ドラマティックに演奏されます。
・嵐の雨→嬰ハ短調
同じく苦悩や絶望を表すときに、この嬰ハ短調という調(ポピュラーミュージックでいうところの「C#マイナーキー」が使われます。
例えば、ベートーヴェンのピアノソナタ「月光」や、ショパン「幻想即興曲」などがありますが、いずれも激しい感情的な曲ですね。
・ピアノソナタ「月光」第3楽章
・「幻想即興曲」
そして再び柔らかな甘い雨音が短い間ですが現れ、その柔らかい雰囲気の変ニ長調のまま曲は締めくくります。
はい、ということでいかがでしたでしょうか?
今回のピアノ名曲探索のコーナーは、ショパン「雨だれの前奏曲」をご紹介させていただきました。
このようにして雨音を見事に曲で表し、感情を重ねながら描かれるドラマティックな雨だれの前奏曲は現在でも非常に愛されている名曲。
きっと今後何百年、何千年と愛され続けるでしょう。
それではまた次回の名曲探索もお楽しみに!
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