こんにちは!
東京都内を中心に、関東近郊に20か所ほどある完全個人レッスンのピアノ教室、エルピアノスクールのブログです。
本日は「ピアノ名曲紹介!」ということで、是非ご紹介させていただきたい名曲について書かせていただきたいと思います。
今回ご紹介する曲はフランツ・リストの「愛の夢」です。
リストをあまり知らないという方でも、「愛の夢」と「ラ・カンパネラ」はご存知の方が多いのではないでしょうか?
「愛の夢」の、その甘く切ないメロディーや響きは何度聴いても癒しを与えてくれます。
今回はそんなあま〜い名曲をご紹介していきたいと思います!
〜フランツ・リスト「愛の夢」〜
まずは作曲者の「フランツ・リスト」について、少しお話ししていきましょう。
フランツ・リスト(1811〜1886)
ハンガリー出身のピアニスト・作曲家で、時代で言うとショパンと共に人気を博したリストは「ピアノの魔術師」と言われ、演奏を聴いた女性が失神してしまうほどスター性に溢れ、端正な顔立ちや美しい髪を持ち、また驚くほどの超絶技巧を持っていたと言われています。
誰も真似できないような超絶テクニックは、まるで魔術を使ったかのようであったとのことで、数々の伝説を残しました。
また、リストは素晴らしい名曲の数々を残していますが、その作曲や演奏スタイルはド派手なパフォーマンスで彩られていました。
そんなリストはある人物にとても影響を受けたのですが、その人物はというとヴァイオリニスト の「パガニーニ」(1782〜1840)です。
パガニーニもとてつもない超絶技巧の持ち主で、あまりにもそのパフォーマンスが凄すぎることから「悪魔に魂を売り渡した代償として技巧を手に入れたのだ」という有名な言葉が残っています。
そんな彼の演奏をリストが聴いたのは1832年(1831年という記録もあったり)、20歳頃の時です。
パガニーニに感化されたリストは、自分もピアノ界のパガニーニになると決意し、その後より練習に明け暮れたそうです。
さて、話を「愛の夢」に戻しますと、この曲は元々リストが作った歌曲の中の一つで、1850年リストが39歳の時にピアノ独奏用に編曲したのが「愛の夢」です。
第3番が特に有名ですが、他に2つの歌曲を合わせて「三つの夜想曲」という副題を持ちます。
夜想曲というより「ノクターン」と言った方がピンと来る方もいらっしゃるかも知れません。
ゆったりとしたテンポと、柔らかく流れるような美しい旋律が特徴的な「ノクターン=夜想曲」形式で書かれた愛の夢も、まさに美しく柔らかい旋律とハーモニーが魅力的です。
ここで一度実際に音源を聴いてみましょう。
曲の甘美さ、力強さなどの曲調が変化していく様子を是非味わって聴いてみてください!
辻井伸行さんによる、リスト「愛の夢」をお聴きください!
いかがでしたでしょうか?
甘美な場面から曲が流麗になったところなど、力強さを感じる事ができましたでしょうか?
それでは曲の中身へと話を進めていこうと思います。
曲の冒頭から非常に重要なポイントがあります。それは最初の音「ミ♭→ド」。
開始たったの2音がとても重要な役割を果たしています。
この2音でもう話はついています(汗)
どういうことかと言いますと、この2音間の音程差に注目していただきたいのですが、少し専門的な話になりますが「ミ♭→ド」は「長6度」という音程差で、しかもミ♭から6度上昇してドに行くこの音型は「憧れ」を表しています(6度の跳躍は、人間の心に「愛」、「恋」、「憧れ」などの感情を呼び起こすことが多いと言われているそう)
何に対する憧れでしょうか?
愛の夢というくらいですから「愛」「恋」「夢」こんなようなワードが連想させられますね。
冒頭からこのような甘い世界が全開で現れるのですから、さすがリストは聴衆のことをよく分かっていますね!
女性が失神するのも無理ないわけです(^^;;
(ちなみに当時の上流階級の女性たちは、着用したコルセットでウエストを締めすぎて浅い呼吸しか出来ないために、常に貧血状態で、刺激に弱かったと言われているようです。もしかするとこれも影響したのかも!?)
そしてその2音後のメロディーはと言いますと「ド」が実に5回も続きます。
これが面白いポイントで、最初に甘い世界へ誘いその後はその雰囲気を壊さないようにキープさせるわけです。
しかもその後跳躍するわけでもなく、ドの一つ上のレ♭までしか上がりません。そしてその後は、愛のため息のごとく5度の下降跳躍へと繋がります。
この最初のメロディーの構想がこの曲の核となるわけで、それらがこの曲が多くの方に愛されている所以になっていると個人的には考えています。
そしてこの曲の第二フレーズが3段目から始まりますが注目は4段目の真ん中の小節の「ファ」の音です。
第一フレーズで同じところを見てみると1回目は「ド」(ニ段目二小節)になっています。
つまり一回目は「ド」で、ニ回目はそこから4度も上がって「ファ」に到達するわけです。
1回目ではまだ少し控えめな愛で、2回目はその思いをさらに高揚させます。この一ページ目だけ見てもこのように面白い発見がたくさんあります。
それではもう一度、ここまでのことを想いながら曲の冒頭を是非聴いてみてください!
いかがでしょうか?
一回目に聴いた時とは少し捉え方が変わったのではないでしょうか?
この先もさらに調性や音型が変わりながら愛や夢が発展していき、さらなる高みへと誘います。
そして曲の終盤では再び冒頭のメロディーへと回帰して、夢に包まれたかのような世界へ誘い消えていきます。
その最後の少し名残惜しくも柔らかく、夢の世界へと消えていく様子は実に美しいです。
その象徴として同じような音型が途切れ途切れ現れます(下からニ段))。
そして最後の5小節では長い音符が続き、アルペッジョ(アルペジオ)にて幕を閉じます。
是非、最後の終わり方も注目して聴いてみると面白いと思います!
はい、ということでいかがでしたでしょうか?
普段耳馴染みのある名曲も、少し違った一面から捉えるとさらなる魅力が生まれます。
是非みなさんも自分なりに分析したり、想像しながら聴いてみてください!
それではまた次回の記事でお会いしましょう!
本日もお読みいただき、ありがとうございました!