こんにちは!
東京都内を中心に、関東近郊に20か所ほどある完全個人レッスンのピアノ教室、エルピアノスクールのブログです。
本日は久しぶりに「ピアノ名曲探索! 〜名曲を知る〜名曲を聴く〜」ということで、是非ご紹介させていただきたい名曲について書かせていただきたいと思います。
今回の主役も「ショパン」です!
ショパンの曲は以前にも何度かこのコーナーでご紹介させていただきましたが、やっぱり名曲が多いので、どうしてもご紹介の頻度が多めになってしまいますね(笑)
そんなショパンの今回ご紹介させていただく名曲は、
「子犬のワルツ」
です!!
〜ショパン「子犬のワルツ」〜
あまりにも有名な曲すぎて、ご紹介するのを今まで忘れていたくらいです(^^;;
これは皆さん「弾いてみたい!」「弾けたらかっこいいな〜!」など、そんなふうに思ったことのある方も多いのではないでしょうか。
それでは「子犬のワルツ」のご紹介、いってみましょう!!
この曲はショパンが大体38歳頃の、晩年の作品です。ショパンは39歳で亡くなっていますから、本当に晩年の名曲です。
この子犬のワルツという曲、仮にショパン本人に「子犬のワルツ、好きなんですよ!」などと伝えることができたとしても、ショパン本人は「え、何その曲??」となることでしょう。
これはどういうことかというと、「子犬のワルツ」という名前は通称で、ショパン本人が付けたわけではないからです。
ショパンはこの曲を「ワルツ第6番」として作曲しました。
やはり日本でのクラシックの定番!みたいな曲は、後々誰かが命名して浸透していったものが多いみたいです。
ショパンはワルツを計19曲書いており、その中の第6曲目が本曲です。
ではなぜ後に「子犬のワルツ」と命名されたのでしょうか?
そもそも「ワルツ」とは??
ワルツとは舞曲のことをいい、三拍子で演奏することが圧倒的に多いジャンルです。三拍子にすることでテンポの進みが良くなり、まさに踊りたくなるような軽やかさが特徴的です。
ショパンもこの計19曲のワルツの中に、様々な舞曲を入れました。
その中でも子犬のワルツはテンポが速く、まさに子犬が円を書いてチョコチョコ走り回るような情景がぴったりの曲です。
そしてこの曲は、ショパンの弟子の一人であるデルフィナ・ポトツカ伯爵夫人に献呈されています。
当時の作曲家は夫人や伯爵といった人に曲を献呈するということがとてもよくありましたので、どんな人に献呈されたのかも調べてみると面白いかもしれませんね。
さて、ここで皆さんにクイズです!
この「子犬」の名前は何でしょうか!?
もし分かった方はかなりの「通」ですね。
子犬の名前は、、、
MARKI(マルキ)
です!
いかがでしょう、ご存知でしたでしょうか??
当時ショパンはフランスのノアンで、交際していたジョルジュ・サンドと暮らしていました。
ある時サンドの友人が、サンドのために子犬を連れてきてくれたんです。
ショパンは最初にこの子犬を見た時、「気品のある美しい子犬だ!」と気に入り「リスト」という名を思いつきました。(「リスト」もピアニスト・作曲家として有名ですが、ショパンとは親しい友人同士でした。リストのこともいつかご紹介させていただきたいと思いますが、ショパンとリストの話も面白いです。)
なぜか「気品=リスト」、というふうにショパンは思っていたのでしょうか?
しかし口に出したはいいけど、「それはあまりにも、、、」ということで、マルキに変えたようです。(ちなみに、なぜ「マルキ」と名づけられたかは不明です(汗))
そしてこのMARUKIちゃん(MARUKI君かもしれません)、この子は自分の尻尾を捕まえようとして習慣的によくクルクル回っていたそうです(笑)
この曲はショパンがそれをモチーフとして、即興的に作曲したものだと言われています。
即興のレベルが高すぎますね(^^;;
「子犬のワルツ」という通称の命名者も、このエピソードや情景を思い浮かべて「これだ!!」と思ったのかもしれません(笑)
そんな愛くるしい行動がワルツ第6番の軽快なリズムにぴったりです。
曲の雰囲気が子犬の愛くるしい行動を想起させますが、ではその雰囲気を作っている要因はどこにあるのでしょうか?
子犬のワルツといえばとても速いテンポと音の数が多いなーという印象がありますね。ではその音についてみていきましょう。
右手に注目してください。同じような音形とリズムが反復していることに気がつくでしょうか。
例えば最初の段の音を抜き出すと「ソ、ラ、ド、シ」の4つの音に限定されていますね。しかも毎小節とも4つの音を全て8分音符で何度も反復しています。
この「ソ〜ドの音」を反復することによって、歯車が回転するような、まさに子犬が自分の尻尾を追いかけ回してクルクル回っているという印象を作り出すことができます。その回転を支えているのが左手のリズムです。
ワルツは基本的には3拍子ですから、一小節に音が3つ、すなわちこの形がワルツの典型的な形になっています。
3拍子という拍子は非常に軽快で優雅な、前に進みやすい性格を持っています。
対して日本人に馴染みが深いのは4拍子です。わかりやすくいうと、日本が誇る「さくらさくら」ですね。
この4拍子というのは、比較的どっしりとしていて落ち着いています。(数字で言うなら偶数になるわけですから、ある意味割り切れる拍子であるため、3拍子ほどの推進力みたいなものは生まれません)
そして面白い特徴がもう一つあります。
8分音符による回転の中に一つ特徴的な音符がありますね。楽譜で言うと2段目の3小節目にある付点4分音符です。
付点4分音符は8分音符の3倍の音価の音符で、速い音符の中にいきなり音価の長い音符が出てくると突然音楽の流れが止まったように感じます。
これが聴衆に対して興味を惹かせるポイントでもあり、オシャレな工夫でもあります。
子犬の場面で言うと、自分の尻尾を捕らえにジャンプしていたり、助走をつけているかのように感じますね。
ショパンが曲名をつけていないとはいえ、「子犬のワルツ」のように名前がついた標題音楽(物事や場面を音楽で表す曲)は想像心が掻き立てられて非常に面白いですね!
自分なりに曲の物語や場面などを想像して、聴いたり弾いたりすると楽しいですよ(^^)
皆さんも、是非やってみてください!
はい、ということでいかがでしたでしょうか?
今回のピアノ名曲探索のコーナーは、ショパン「子犬のワルツ」をご紹介させていただきました。
弾き方のポイントなども詳しくはレッスンでお伝えしていますので、何でもお気軽にご質問下さいね!
それでは、また次回もご期待ください!
本日もお読みいただき、ありがとうございました!
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