名曲紹介

【ピアノ教室】名曲紹介! 〜ベートーヴェン「悲愴」〜

こんにちは!

東京都内を中心に、関東近郊に20か所ほどある完全個人レッスンのピアノ教室、エルピアノスクールのブログです。

本日は「ピアノ名曲紹介!」ということで、是非ご紹介させていただきたい名曲について書かせていただきたいと思います。

今回ご紹介させていただくのは、ベートーヴェンのピアノソナタの「悲愴」です!

それでは今回も早速、曲に入っていきましょう!

〜【ピアノ教室】名曲紹介! 〜ベートーヴェン「悲愴」〜〜

まずは一度曲を聴いてみましょう!

悲愴は、前回このコーナーでご紹介させていただいた「月光」、そして「熱情」と共に、ベートーヴェンの三大ピアノソナタと言われています。

「悲愴」と言われるソナタの正式名称は「ピアノソナタ第8番 ハ短調 作品13」というもので、作曲された年代は、現在では1797〜98年という説が有力です。

この作品はピアノソナタ第7番 ニ長調 作品10-3とほぼ並行して書かれていたそうです。この曲もベートーヴェンのピアノソナタの中ではとても有名ですね。

今回取り上げた「悲愴」の重厚さとは全く真逆で、第7番は軽快でとても明るい曲です。
重く苦痛な世界を書きつつも、明るく希望のある作品も同時に書く。まさにベートーヴェンの作品は、彼の人生そのものだと感じます。

〜名前の由来〜

さて、この曲には「悲愴」というタイトルが付いていますが、その由来についてみていきましょう。

まず、この曲が初めて出版されたのは1799年の秋、ウィーンのエーダー社からで、その表紙にある題字「大ソナタ悲愴」というのが名前の由来だそうです。これがベートーヴェン自身の発案だったか定かではありませんが、本人の了解の下に付けられたものであると考えられています。

ベートーヴェンのピアノソナタにはタイトルのついているものが多数ありますが、ベートーヴェン自身が自作に標題を与えることは珍しく、自身で付けたものとしては「悲愴」と「告別」の2曲のみと言われています。

ですから、熱情も月光も彼が名付けたわけではないんですね、、、(汗)

「悲愴」のお話から少し脱線してしてしまいますが、ベートーヴェンのピアノソナタでタイトルが付いている曲の名前の由来について少しご紹介させていただきたいと思います。
特によく知られているものとしては「月光」、「田園」、「熱情」、「告別」などが挙げられます。

月光については以前も別の記事でご紹介させていただいたのですが、ここでも改めて少し触れますと、そもそもベートーヴェンは「月光」という曲に「幻想曲風ソナタ」と名前を付けていました。

よく知られている「月光」という名前はベートーヴェン自身が付けたものではなく、ドイツの音楽評論家・詩人である、ルートヴィヒ・レルシュタープが月光の第1楽章がもたらす効果について、「スイスのルツェルン湖の月光の波に揺らぐ小舟のよう」と表現したため、「月光ソナタ」という愛称が出版物に使用されるようになりました。

次に「田園」ソナタですが、これもベートーヴェン自身がつけたタイトルではありません。ハンブルクの出版社クランツがベートーヴェンの死後1838年に『Sonate Pastorale』と銘打ったのが由来だそうです。

また、「熱情」のソナタも田園と同じく1838年にハンブルクの出版社クランツが付けたもので、ピアノ連弾用の編曲版の出版の際に熱情という副題を付けたため、これが通称となりました。

ということで、このように作曲家自身がタイトルを付けた曲というものは、実は意外と少ないんだなあということに気がつかれたのではないかと思います。

現代のポップスなどの場合、タイトルを付けるのが当たり前、という文化の中で生きている私達には曲にタイトルを付けない、という考え方はなかなか理解し難いことではあるかもしれませんが、良くも悪くもタイトルが曲のイメージを大きく左右してしまうことは少なからずありますよね、、、。

ちなみに、このようにタイトルがついた音楽を「標題音楽」といいます。
標題音楽は題があるのでイメージを持ちやすいですが、もし曲にタイトルが付いてなかったとしたら自分はその曲にどんな情景を想像するのだろう、、、。

想像してみると何とも奥深い世界ですね(^^)
そしてそれが音楽の面白いところでもあります。

さて、それでは「悲愴」ソナタの話に戻りたいと思います。

第1楽章、第2楽章、第3楽章のそれぞれのテーマについて少し解説していきましょう。

まずは第1楽章ですが、この楽章は序奏付きソナタ形式となっています。
冒頭の序奏部分は重々しく、フランス序曲のような付点のリズムで始まります。

次に第2楽章です。この楽章は、単独でも頻繁に演奏されるので、みなさんも一度は耳にされたことがあるのではないでしょうか?
第2楽章の第1主題は、優雅で一度聴いたら忘れないような、とても美しいメロディです。

そんな素敵な第1主題ですが、実は、ベートーヴェンはある工夫を施しているんです。その工夫とは、3小節目の上行部分に、第1楽章の第2主題に登場したモチーフ(譜例1)が隠されています(譜例2参照)。

第1楽章に使われたモチーフが第2楽章のテーマの一部となって現れるとは、、、!
さすがベートーヴェンですね。

(※譜例1:第1楽章より51小節目)

(※譜例2:第2楽章より冒頭4小節)

最後に第3楽章です。この楽章はロンド形式で構成され、第2楽章とは対照的な、アップテンポでドラマチックな曲想です。

そして冒頭部分のテーマですが(譜例3)、これも第2楽章と同じように第1楽章に登場した第2主題のモチーフ(譜例1)がそのまま使われています。
しかも1楽章ではヘ音記号で書かれていたのをト音記号に変えただけです、、、すごい!

(※譜例3:第3楽章より冒頭部分)

はい、ということでいかがでしたでしょうか?

第1楽章、第2楽章、第3楽章には驚くべき共通点が隠れされていたことがお分かり頂けたかと思います。

ベートーヴェンといえば厳格で固そうなイメージを持ってしまいがちな気がしますが、作品から垣間見える、ちょっとした遊び心やロマンチックな音楽性により、ベートーヴェンから受ける印象が変わったような気がします。

今回はベートーヴェンのピアノソナタの一つ「悲愴」をご紹介させていただきました!
是非みなさんも弾いてみていただければと思います!

それではまた次回の記事でお会いしましょう!

本日もありがとうございました!


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