ピアノ雑談

【ピアノ教室】ちょっと小話! 〜調性(キー)のイメージ 変ロ長調、ト短調、変ホ長調〜

こんにちは!

東京都内を中心に、関東近郊に20か所ほどある完全個人レッスンのピアノ教室、エルピアノスクールのブログです。

今回は、以前にも書かせていただいた「調性(キー)」のイメージをご紹介させていただくコーナーの第2弾です!

音楽には「調性(キー)」といういわゆる音楽の性格となるものが全部で24もあり、調性によってさまざまな音の世界観が表現されています。

今回もその調性によるイメージの違いを書かせていただきたいと思います。(もちろん一般論を交えつつではありますが、私見もありますので何卒ご了承くださいm(_ _)m)

それでは、いってみましょう!

ピアノちょっと小話! 〜調性(キー)のイメージ 変ロ長調、ト短調、変ホ長調〜

今回は「変ロ長調、ト短調」、「変ホ長調」の3つの調についてご紹介させていただきたいと思います!

〜◆①「変ロ長調」◆〜

変ロ長調は「♭シ((英語で言うと「B♭」)」を主音とする長調で、「シとミに♭がつく」調です。(音階は「♭シ、ド、レ、♭ミ、ファ、ソ、ラ、♭シ)

この調の特徴、性格は「明るくて素直で爽やか」このように言われています。(個人的な意見として、人の性格にたとえるなら「優しく穏やかで物腰が柔らかい人」という印象を抱きます)

また、変ロ長調は弦楽器によく用いられる調で、ハイドンやシューベルト、モーツァルトが使うことが多い印象があります。

シューベルトは変ロ長調を「天上の音楽」「絶望の先の幸福」といったニュアンスを感じさせる曲によく用います。
その代表例として 「シューベルト ピアノソナタ第21番 変ロ長調」が挙げられます。

シューベルトはソナタを21曲書いており、本曲はその中の最後のソナタです。
また、シューベルトが亡くなる3ヶ月ほど前に書いたことから、死を直前にして絶望に直面し天国のことを想う、これまでの人生を振り返る走馬灯のような曲と捉えることもできます。

この曲の詳しい解説はまた改めて記事にしたいと思いますが、第一楽章の冒頭部分だけでも是非聴いてみてください。

いかがでしたでしょうか?

もう一曲、「素直な明るさ」を感じていただくために「モーツァルト ピアノソナタ第3番 変ロ長調」も聴いてみましょう。(こちらは弾いたことがあるという方もいらっしゃるかもしれません)

モーツァルト特有の明るさ、童心に帰ったような雰囲気を味わうことができ、同じ変ロ長調でも少し雰囲気が変わるため、面白いところでもあります。

変ロ長調の持つ「柔らかさ」や「素直」な性格を感じていただけたでしょうか?

〜◆②「ト短調」◆〜

続いてご紹介するのは「ト短調」です。

こちらは先ほどの変ロ長調の平行調(長3度下の調)ですが、雰囲気はうってかわり、「厳粛かつ神聖な雰囲気」といった性格があります。

ト短調の主音は「ソ(英語で言うと「G」、日本語で言うと「ト」)」の音となり、ヴァイオリンの開放弦(ソ、レ、ラ、ミ)の最低弦を主音とすることから、ト短調はヴァイオリンの曲によく見られます。

またチェロやヴィオラにおいても、ト短調は調弦的によく響く調であることからやはり多く用いられ、全体的に弦楽器と相性の良い調であると言えます。

それではト短調の曲の例を挙げていきましょう。

ここでは、ガブリエルフォーレの名曲の一つ「シシリエンヌ」チェロver.を聴いてみたいと思います。

いかがでしたでしょうか?

変ロ長調とは全く異なり、「厳粛」な雰囲気を感じていただけたでしょうか?

また、ト短調はピアノ曲においても有名な曲がたくさんあります。

代表的な例としてはショパン「バラード第1番」やJS.Bachの「幻想曲とフーガ」などが挙げられます。

ここでもう一曲、ショパンの「バラード1番」も聴いてみましょう。

この曲の特徴は主音(ソ)で始まるのではなく、4度上の(ド)の音から始まります。
その(ド)の音のオクターヴが鐘のように鳴り響いて始まり、徐々にト短調の世界へと誘います。

その辺りも是非注目して聴いてみていただければと思います!

ツィメルマンによる演奏をお楽しみください!

いかがでしたでしょうか?

弦楽器が織りなすト短調の世界とは、また少し違った味わいがあったと思います。

〜◆③「変ホ長調」◆〜

変ホ長調は「♭ミ((英語で言うと「E♭」)」を主音とする長調で、♭を3つ持つ調です。(シ、ミ、ラに♭がつく。音階は「♭ミ、ファ、ソ、♭ラ、♭シ、ド、レ、♭ミ)

この調のイメージは「皇帝」「芯のある柔らかさ」などです。

クラシック音楽の場合、皇帝などのニュアンスの曲を作りたい時に「変ホ長調」を用いるケースが多いことから「変ホ長調=皇帝」というイメージが強くあります。

代表的な曲として、以前にこのブログでもご紹介させていただいた「皇帝」の名前がそのままついた名曲、ベートーヴェンピアノ協奏曲第5番「皇帝」が挙げられます。
非常に誇り高く威厳のある「皇帝」が見事に曲に生かされており、キャラクターとしては柔らかい変ホ長調ですが、その中に芯のある強さを感じることが出来ます。

それでは、ベートーヴェンピアノ協奏曲第5番「皇帝」の第一楽章を、ピアノ/ゼルキン、指揮/バーンスタインで聴いてみましょう!

1楽章は大体20分くらいありますが、冒頭の数分聴くだけでもだいぶ雰囲気が分かるかと思います。いきなり「カデンツ(一般に、独奏協奏曲やオペラ等のアリアにあって、独奏楽器や独唱者がオーケストラの伴奏を伴わずに自由に即興的な演奏・歌唱をする部分のこと)」で始まるのも、一つ注目ポイントです!

いかがでしたでしょうか?

「力強くも柔らかい」という感じが伝わりましたでしょうか?

そしてもう一曲、変ホ長調を語るのに外せない名曲があります。

それは「ショパンノクターンOp.9-2」です。
ショパンの作品の中でもこの曲が大好きという方も多いのではないでしょうか?

作品番号ではわからない方もいらっしゃると思いますので、一度演奏を聴いてみましょう!

エルピアノスクール東久留米教室の講師、「竹田悠一郎」先生の演奏です!

いかがでしたでしょうか?

とても有名な曲ですので、おそらく皆さん一度は聴いたことがあるかと思います。

しかしこの曲を、「変ホ長調だから」と考えて聴いたことはあまりなかったのではないでしょうか?(というか、普通ないかもしれませんが(汗))

とても柔らかくも芯のある伸びやかなメロディーが美しい名曲ですね。

他にも有名どころでは、シューベルトの即興曲作品90-2などがあります。

はい、ということでいかがでしたでしょうか?

是非、「調性」というカテゴリーから曲を探していただくと、また違った面白さがあり、世界が広がってくるのではないかと思います!

調性によって「自分はこの調が落ち着くな」、「なんだか好きだな」、と感じるものも出てくると思いますので、自分の好きな「調」を見つけてみてください!

それではまた次回の記事でお会いしましょう!

本日もお読みいただき、ありがとうございました!



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